こんにちは。転職を3回も経験したアラサーのぷんまるです。(プロフィールはこちら♪)
今回は、病院の中で働く「SE」と言われる職種についてお話します。
わたしはSEとして、「一般企業」と「病院」の両方で働いたことがあります。
でも病院は、わずか1年余りで退職しました。自分史上、最速です。
なぜ退職することにしたのか、一般企業のSEと何が違うのか、そのあたりを紹介していこうと思います。
就職や、IT系の転職先として病院を考えている人に、役立つ情報になればうれしいです(*´з`)
どんな病院に転職したのか
まず前提ですが、わたしが経験したのは「私立の総合病院」です。
内科、外科、整形外科など、様々な診療科がありました。
私立の病院なので、特徴を一言で言えば、「オーナー病院」と言えます。
オーナーは経営層のトップにあたる「理事長」になります。
一般企業との違い
わたしが経験した中で感じた、働くうえでの「病院と企業の違い」を説明します。
給与面での違い
まず、一番大きな違いはコレです↓
一般企業(IT系の会社)で働いていた時に比べると、病院は6割程度でした。(これでも値段交渉した方です)
給与が安い理由は、「事務員扱い」されるからだよ
「SE」とは名ばかりで、実際にはそのような職種はありません。あくまで事務員です。
「総務」系の部署に配属されることが多いでしょう。
後で仕事内容にも触れますが、「少しパソコンに詳しい事務員」という位置づけになります。
文化の違い
次に大きく感じたのが、よくドラマとかで表現されることがある、これです↓
一般企業では「株主」が経営に口出しできますよね。
でも私立病院には株主なんていないし、第三者が経営に口出しすることはありません。
その分、理事長の権限が凄く強いのです。ここが「オーナー病院」の特徴でもあります。
また、よく病院では「ヒエラルキー」という言葉が使われますが、実際に働いてみて、ヒエラルキーを感じることは、たまにありました。
人によって感じ方は違うかもしれませんが、事務方のトップ(管理職)が新人医師に媚びへつらう感じです。
理事長を筆頭に、医師、看護師…そういう文化が根付いているんだと思います。
ちなみに「SE」が含まれる「事務職」は、一番下の階層でした。
どんなに凄いIT系の資格があろうと、関係ありません。宝の持ち腐れになります。
実際の仕事内容
病院での仕事には、こんなものがありました。
- ヘルプデスク
- 庶務(物品購入、稟議書の作成)
- 業者とのやりとり(見積依頼)
- 見積の比較資料の作成
- 関係者の日程調整
- 会議設営(パソコン、プロジェクターの設置)
- 売上分析などの経営会議の資料作成
- パソコンやプリンター、防犯カメラの修理対応
- 配置換えの時にパソコン類を動かす
システム開発のような、プログラム書いたり…という作業はありません。
システムの設計、導入などは全て業者さんにお任せしていました。
ちなみに感覚としては、「ヘルプデスク」の割合が一番多かったです。(4割位?)
内容は簡単なものから、調整が必要なものまで。
こういったものが多かったです。
また、スキル的にエクセルが使える職員が全然いなかったので、資料作成の作業も行っていました。
特殊な要望を受けて、フリーソフトで実現できないか、調査することもありました。
要望や質問は、本当に多岐にわたります。
そのため、臨機応変に色んなことに対応する必要がありました。
仕事で使う道具もたくさんあるので、こちらの記事にまとめています↓
あと、「IT系の専門性」は重要ではないと思います。ただ「必要なスキル」はあるので、後で詳しくお話します。
今思えば、こういう本を読んでから入職すればよかったです(;´Д`)
病院で良かったこと
ここからは、病院で働くことのメリットを挙げていきます。
感謝されることが多い
まわりにIT系に詳しい人がいないため、些細なことで感謝されました。
自分が「当たり前に知ってるだろう」と思うことでも、ほとんどの人が知りません。
特にIT系の出身者が病院で働くと、カルチャーショックを受けること間違いありません。
「動かないんです」と言われて見に行ったら「線が抜けてる」とか、よくあります。
普段は定時で帰れる
まず、ほとんどの業務に「納期」がありません。
依頼してくる人は病院の職員で、「□月○日までにお願いします」と具体的に言われることは、ほぼありません。(普段、プロジェクトを「WBS」でスケジュール管理しているようなSEさんだと、カルチャーショックは凄まじいはず。)
逆にこちらから「いつまでに必要ですか?」と聞かないと、期限が切られません。
そして期限を聞いても、「なる早で(なるべく早く)」という、ザックリとした答えが返ってくる事が多いです。
なので、緊急のトラブルや深夜作業が無い限り、基本的に定時で帰ることができます。
病院で嫌だったこと
わたしが病院を辞めた理由にも繋がりますが、働いてみて「嫌だ」と感じた点を説明します。
「何でも屋」になる
基本的に「電源がつく系の機械」は、ほとんど任されます。「デジカメの調子が悪いから見て」とか、「プロジェクターの調子が悪いから見て」などなど…あまりシステム的に関係無くても頼られことが多いです。
あと、「些細なことで感謝される」と書きました。
逆に言うと、本当に些細なことで現場に呼ばれます。
例えば、「パソコンのモニターが映らない」と電話が入ります。
個人的な感覚だと、モニターが映らなければ「電源入っている?」とか、「線の接触が緩んでいない?」など、自分である程度調べてから電話します。(緊急の場合は除きますが。)
それが病院にはありません。職員のITリテラシーが低いので、あり得ないことが起きたり、何か調子が悪いと即電話されたりします。(緊急じゃなくても)
場所が近ければ良いのですが、「1階から8階まで見に行かないといけない」となると、どうでしょう?
正直、「それくらいで呼ぶなよ(-_-;)」って思ってしまいます。というか、移動中に直せるんじゃないの?と思ってしまうのです。
IT担当の職員は1人、2人しかいないので、いちいち手が止まります。
病院のIT担当者は、ほぼ「ひとり情シス」です。
1人、2人で対応しています。他の業務と兼任していることも。
職場に頼れる人が少ない
いろんなことを聞かれたり、要求されるので、自分の知識だけでは解決できないことが多くあります。
でも、自分で解決するしかありません。
当時はGoogle先生が良き相棒でした
Google先生でもわからない場合は、普段やりとりしている業者の方に助けを求めます。
だから、普段から業者といい関係を築くことはとても大切です。
特に一番困るのは、「保守に入っていないシステム」でトラブルが起きた時です。
本当、青ざめます。
こういう場合は業者に泣きついて、スポットで対応してもらうしかありません。
もちろん、後で請求書が送られます。
もう一度いいます、「業者を味方につけるべし」
関係が良くないと、緊急でも対応されないかもしれません(;´Д`)
そうなると、きっと責められるのはIT担当のわたし…( ;∀;)
なので普段から上司に、「このシステムは保守に入っていません。問題が起きたら、その都度お金がかかりますよ。」とアピールしておく必要があります。
経営層がITインフラにお金をケチりすぎると、しわ寄せが自分のところに…
わたしはこの点がストレスでした(-_-;)
医師や看護師との調整
仕事をするうえで、医療スタッフの人と調整することがとっても多いです。
割合でいうと、こんな感じ↓
- 看護師…4割
- クラーク(医療事務)…3割
- 医師…2割
- その他、薬剤師など…1割
みなさん患者さん相手に忙しそうにしていることが多く、雰囲気を読んで話しかけに行ったり…とても気を使いました。
命を預かっている現場だから、しょうがないのですが…
この「気軽にコミュニケーションが取れない」というのもかなりストレスでした(-_-;)
一般企業だと、会議中じゃなければいつでも話しかけられたり、チャットツールがあったりするので、この点がギャップでした。
関係会社が多すぎる
病院に入社してから1年で、色んな業者の人と会いました。
その数なんと…100人以上!
おかげで名刺が100枚以上も溜まりました( ;∀;)
多すぎて、訳ワカラン!
いろんな業者の、いろんなシステムを扱っていたので、頭の中がグチャグチャです 笑
システムの種類なんて軽く10は超えていました。
普段やりとりしていた業者は3社くらいなのですが、たま~に「このシステム、どこの業者の誰に聞けばいいんだったっけ?」的なことが起こります。
電子カルテだけでなく、「部門システム」という細かいシステムがたくさんあって、管理も煩雑でした。
単純脳のわたしは、この点も難しかったです。
必要なスキル
病院のSEは業務範囲が広いけど、このスキルがあったら重宝されます。
- ネットワークの知識
IT系の中では、一番役立つスキル。ネットワーク系のトラブルは多いです
- プリンターの基礎知識
プリンターの種類とか、トナー、ドラム、などの用語が分かっていればOK
- パソコンのハード的な知識
パソコンの不調トラブルは、よくあります
なので自作パソコンを作っているような人は、ある意味楽しいかも
- 電気系に関する知識
電気機器の配置をする時、「このコンセントは○○ワットまでだから、これ位までなら繋いでOK」みたいな判断が必要になることがあります
- 医療情報に関する知識
「診療報酬」とか「オンライン請求」、「レセプト」など、医療事務的な用語や、「JLAC10コード」など、医療情報の用語を理解する必要があります。知識をつけるには、「医療情報技師」という資格を取ることが最初のステップです
メディカル系IT企業の人は得意かも!
会社名が「○○メディカルシステム」の人とかね♪
- コミュニケーション力(特に説得力、調整力)
一番必要なスキル。「伝書鳩」状態になることが多いです
病院には色んな職種の人がいて、人の入れ替わりも多いです
そのため、知らない人と調整が必要なことが多々あります
「まず、あなた、誰…?」から始まること、よくありますよ
わたしは知らない人と調整するの、超超超ニガテです( ;∀;)
応募するには
繰り返しになりますが、病院のSEは「ひとり情シス」なことが多いので、求人数は少ないです。
でも一定数はあります。探し方は4つあります。
- 一般の転職サイトで探す
わたしの場合、「マイナビ転職」に載っていた求人に応募しました。
- 「医療情報技師育成部会」の公式サイトで探す
「医療情報技師」という資格の主催団体のサイトです。応募条件に「医療情報技師」の資格が必要な場合があります。
一覧でキレイにまとまっているので、手っ取り早く探せます。
➡ 公式サイトの求人ページはこちら
- 病院の公式サイトで探す
一般の転職サイトに載っていない場合でも、「実は募集していた」なんてこともあります。気になる病院がある場合は、定期的にチェックしましょう。
- インターネットで「病院」「SE」「求人」で検索する
最終手段です。取りこぼしが無いように、インターネットで検索もしてみましょう。
たまに募集要項に、「未経験でもできます」とか、「専門的な知識はいりません」とか書いてあることがあるけど、あれは嘘です。あとあと、絶対にさっき書いたスキルが必要になってきます。
「未経験大歓迎!」って書いてあるものは、注意が必要だよ。
役立つサイト
わたしが病院で働いていた時、よく見ていたブログです。
業務に役立つ記事や、共感できる感想がありました。超オススメです。
まとめ
一般企業との比較をまとめました。
メリット | デメリット | |
一般企業 | ITスキルが上がる 頼れる人が多い |
「できて当たり前」的な雰囲気 定時帰りは難しい |
病院 | 感謝されやすい 定時で帰れる |
何でも屋になる 頼れる人が少ない |
ちなみに、わたしはこんな理由で合いませんでした( ;∀;)
- 知らない人や、普段話さない人と調整するのが苦手
- 一人でモクモクと作業をしたいタイプ
病院は、とにかくワークライフバランスを優先したい!という人には良い環境です。
「正社員で毎日定時で帰れる仕事」って、あまり無いんじゃないかな~、と思います。
ちなみに、病院を辞めた後の話はこちら↓読んでみてね♪
参考になればうれしいです、それでは!